院長のひとり言

妊活を中医学的視点から考える〜痰湿による不妊〜

妊活を中医学的視点から考える〜痰湿による不妊〜



妊活、不妊治療を中医学の古典的解釈から考えていこうと思います。

実際、不妊の原因は多岐にわたり、1つのことで不妊になっているわけではありません。

しかも、原因がわからない事も多く、体質的な準備不足による事も多々あります。

そこで中医学の立場から不妊の原因となる状態をみていきたいと思います。

今回は痰湿による不妊体質をお伝えしていきたいと思います。

そもそも痰湿とは何か。

中医学では水の代謝を上焦一肺、中焦一脾、下焦一腎が司るとしています。

まず、食べ物や飲み物が胃や脾で消化されます。

脾が吸収した水分が津液となり全身を循環します。

津液の循環には特に「肺」の働きが大きく、津液は口や鼻や目を潤します。

必要なくなった水分は腎の作用によって尿や汗となり体外へ排出されます。

これが種々の要因によって脾胃、肺、腎の機能が上手く働かなかったり、水分代謝が滞ることによって体内に余分な水分が溜まった状態、それが蓄積していくと痰というものを形成する事を言います。

水が体内に停滞する為に動きが悪く、津液(水)がネバネバしてきますので、血の流れも阻害してしまいます。

また、痰湿タイプの人って糖質過多であったり、脂っこいものを食べ過ぎたりの長年の生活習慣で脾が弱って運化機能が弱ることで引き起こされている事が多いんです。

胃がムカムカしやすかったり、舌にべったりとした白い苔がつくのも特徴です。
生活習慣が悪いと胃腸の消化・吸収力が鈍ってきますなら、さらに体内に余分なものがたまりやすくなり、血液ドロドロ度が悪化する可能性があります。

結果、痰湿が気血の流れを阻害し、卵巣や子宮に行くはずの血を妨害するので、妊娠がしにくくなると考えます。

実は多嚢胞性卵巣症候群の人のほとんどが痰湿タイプになってきます。

急激な体脂肪増加はホルモンの均衡を壊す高インスリン症を引き起こしたり、継続的に糖質過多になっていればインスリン抵抗性によって男性ホルモンの局所増加を引き起こす事で多嚢胞性卵巣症候群などの疾病となります。

妊娠の成立、出産まで行き着く為にはホルモンを分泌する力、卵胞を育てる力、良質な卵子をつくる力、排卵する力、子宮内膜を厚くする力、着床した受精卵を育む力など数多くの力が必要です。

これらの力をトータルして妊孕力と呼ぶんですが、妊孕力を高めるためには、気の巡り、血の巡り、津液=体液の巡りを改善して行く事が必要です。

食事、運動、睡眠、呼吸、排泄を整えて行く事が遠いようでも最も近い早道となります。

参考になれば嬉しいです。



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