院長のひとり言
不妊とミトコンドリア
本日のお話は『不妊とミトコンドリア』
不妊の原因と密接に関係している
ミトコンドリアの減少についてお話していきます。
ミトコンドリアって聞いたことありますか??
なんだか中学生ぐらいの時に理科でやったな…
なんてうろ覚えの人がほとんどではないでしょうか?
そもそも私たちの体は約60兆個もの細胞からできています。
ミトコンドリアは私たちが生きる為のエネルギーを生産してくれる
いわば発電所のようなもの!
1つの細胞に300~1000個くらいのミトコンドリアが存在しているんです。
そして、なんと卵子には10万個ものミトコンドリアが存在しています。
卵子を作るっていう事がどれだけエネルギーが必要かがわかりますよね!?
そして受精するとミトコンドリアは100万個まで増えると言われています。
赤ちゃんを産むというのは本当に大きなエネルギーを使うんですね!
ところが不妊で悩む女性の卵子のミトコンドリアは極端に少なく、
その為、赤ちゃんを作る為のエネルギーを
生み出せていないと言われています。
この為、卵子の生殖細胞内のミトコンドリアに
エネルギー供給ができていないのです。
ミトコンドリアの量=卵子の質
と言い換える事ができるかもしれません。
病院の検査などで
「採卵してもグレードが低い」
「受精しない」
「着床しても流産してしまう」
といった経験をされている方も多いのではないでしょうか。
この状況を改善するには卵子の質を根本から改善する必要があります。
卵子の質が悪い例

例えば体外受精の場合、女性は卵子をhMG注射などによって
無理矢理成熟させ、採卵を行います。
元々少ないエネルギーしか持っていなかったものを
無理やり成熟させてしまうので
1つ1つの卵子のエネルギーは少なくなってしまうんです。
そのエネルギー不足の卵子の中から採卵によって得られた
比較的グレード(質)の良い卵子を選別し、精子と受精させます。
通常のエネルギーに満ち溢れた卵子であれば受精後、
胚分割を繰り返し着床してくれますが、
エネルギー不足の卵子ではある程度に育ったところで
子宮に戻し着床させても安定せずに直ぐに流れてしまうんです。
体外受精の失敗の多くは
「胚分割が止まってしまう」
「着床しても胎児の発育が止まってしまう」
事にあります。
これが質の悪い卵子の大きな特徴です。
30代女性の場合は不妊症の初期検査である
「AMH検査」の数値が3.5ng/mlを下回ると、
上質な卵子を採卵する事が難しくなると言われています。
▲ AMH=卵巣年齢と基準値グラフ

ではエネルギーに満ち溢れた卵子に育てる為、
ミトコンドリアを増やすにはどうすればいいのか。
なんと簡単にスイッチを入れる方法があるんです!
そのコツは「ちょっと身体に負荷をかける」
それだけでOKなのです。
ミトコンドリアは「空腹を感じる」と増えるという
特殊な性質も持っています。
ミトコンドリアにエネルギーが足りなくなってきたぞ!
と感じさせる事が重要って事です!!
ミトコンドリアの働きを見守っている酵素、
ATPが細胞内になくなったらスイッチが入り
ミトコンドリアが分裂を始めるようになっています。
この現象は一度スイッチが入るとしばらくの間分裂を続け、
ミトコンドリアの数が増えていくんです。
ATPが体内で足りなくなるの為には
最低1~2分以上少ししんどいなあと感じる運動を
つづける事だと言われています。
つまり、インターバル速歩が効果的と言えるでしょう!
やり方は簡単!
3分間普通に歩いて3分間早歩きという方法です。
意外疲れるんですけど、これだけでミトコンドリアが増えていきます。
不妊体質がミトコンドリアの減少が原因なら
もちろんファスティングも超オススメ!!
ファスティングをする事でカロリー制限をし、
空腹状態を作る事でミトコンドリアの数を増やし、
エネルギーを取り戻せるんです。
そして、鍼をすることで血中の酸素飽和濃度が上昇することが
研究で明らかになっています。
またお灸には造血作用があり、貧血改善に効果的と言われているいて、
これも酸素飽和濃度の上昇に影響します。
ミトコンドリアは好気性細菌(酸素を好む細菌)なので、
酸素が豊富に体に取り込まれることで
エネルギー産生の効率化が期待できます。
最近の高度生殖医療では患者さんご自身の活動の良い
ミトコンドリアを卵子に移すような事もあるようですが、
何よりご自身が健康的な生活を送る事で
ミトコンドリアの活性化は可能です。
是非、今日からインターバル速歩を始めてみてください!
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